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番外編 Hi邸の遮熱と断熱


1−1 実例が示すもの

この度新築したHi邸は建築場所が観光地として名高い湯布院近くの高原で、九州でありながら冬時期の平均気温は気象庁の情報によれば新潟市よりも低い寒冷地域なので、対策を十分にするようお施主様よりご要望頂きました。そこでこれまで平地では採用して来なかった新しい手法を新たに取り入れました.

新しい手法とは内壁・外壁それぞれに『遮熱(しゃねつ)工事』を従来の『断熱工事』に加えて施工するものです。

結果を先に申し上げますと、お施主様が実際にこの家に住み始めて判ったことは、
1)早春の日中にエアコン動作設定を18℃にしたのに室温は20℃まで上がり、
2)夜10時に消したのに翌朝の室内温度は14℃に保たれていました。
ちなみにその夜、建築地塚原高原の最低外気温は−5℃近くまで下がっていたそうです。

この例のように今まであまり注目をされていなかった『遮熱』には、実は大きな意味と効果があります。

では遮熱とは一体どのようなものでしょうか。


1−2 遮熱と断熱は同じものではない?

『遮熱』と『断熱』は言葉が似ていますが意味合いが違うものです。その違いを知る最初の手がかりは熱の伝わり方を知ることにあります。

熱の伝わり方には伝導・対流・輻射(ふくしゃ)の3種類がありますが、その詳しいご説明はこのホームページの「ひまわりホーム」→「外壁通気工法」にありますので是非ご参照下さい。なお、又このページへ戻るにはブラウザの「戻る」ボタンをお使い下さい。

三つの伝わり方を知った上で、断熱と遮熱の違いを一言で言いますと
『断熱』とは主に『伝導』による熱の移動を妨げる場合に用います。
『遮熱』とは『輻射』による熱の移動を妨げる場合に用います.


1−3 その違いをご説明する具体例

良く似ていて判りやすい例を挙げてみます。

私達が着ている衣服には、上記の熱の伝わり方から見た時になるほどと合点が行く物理原則が働いています。
・ 『伝導』により奪われる熱を防ぐ『断熱』の為のセーター。体温が伝わって逃げにくい素材(毛糸)を使っています。
・ 『対流』つまり風によって熱を奪われる事を防ぐウィンドブレーカー。これは対流を起こす風が通らない緻密な生地で作られていますがセーターのような厚みはありません。
・ 体温を内側に跳ね返して『輻射熱』を発生させてダイエットに生かすサウナスーツ。内側には体温をはね返す為のアルミ箔を貼り付けていて、着用者の体温を反射させて温めようとするものです。

(注)上記は、実際にはもう少し複雑なのですが、判りやすくするために単純化したご説明になっています。

お話を本題に戻しますと、従来から推奨されて来た『断熱された家』とはまさに家全体をセーターで包むイメージになりますし、『遮熱された家』はサウナスーツを着た家のようなものです。

次の項目からは遮熱が何故、そしてどの程度に重要なのかをテーマにします。


2−1 住まいの中で熱はどのように移動するか

熱源がその熱を相手に伝える手段は、伝導・対流・輻射の三種類しかありませんが、その三つは現実の住いの熱環境にそれぞれどの程度に関わっているでしょうか。

おおまかに見てその割合は下の表のようになります。

伝わり方対流伝導輻射
割合15%10%75%

注;以前は輻射の果たす大きな役割に気付かれていませんでしたが、現在では全ての熱の移動を100とした場合、輻射による移動は75%を占めるというのが諸研究機関の統一見解となっています。 上の表は、細かく見れば建物の中の横・上・下など伝わって行く方向によって上記数字は変わりますが、この数字はそれらの平均値です。

2−2 輻射が大きな意味を持つ

上記で判るのは、熱が移動する時にはその75%は輻射による、という事実です。「どのような場合でも必ず」という意味ではありませんが、しかし外界からしっかり熱を遮断しようとする時、「輻射」の持つ重要性を考慮しなくてはなりません。

極論すれば分厚い断熱材(この役割は主として三要素のうち熱の伝導を断ち切るものです)を使って内壁と外壁の間をさえぎったとしてもそれは輻射によって外壁から内壁に伝わる熱まではせき止める事が出来ないのです。


3−1 Hi邸への適用

Hi邸をプランするに当たっては、上記の理論に基づいて従来の断熱の他に『遮熱』の考え方も導入してコントロールすることにしました。

その結果が最初にご紹介したようなお施主様の喜びの声となって返って来たのです。尚、グラスウールなどこれまで使って来た断熱材はHi邸においても従来の『ひまわりホーム』の仕様をそのまま施工しています。Hi邸で行った施工の詳細は3−3項で図解します。


−2 使用した遮熱材 その1  「タイベック・シルバー」

Hi邸の外壁には従来の透湿・防水シートに代えてデュポンというメーカーの透湿・防水シート『タイベック・シルバー』を壁全面に施工しました。遮熱材の表面にタイベックと印刷されています。

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この製品の表面はアルミコーティングされており、遮熱性能は赤外線を75%〜80%反射するという素晴らしさです。この『タイベック・シルバー』で家全体を包みました。つまりHi邸はサウナスーツを着込んだのです。
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3−3 使用した遮熱材 その2  「ガイナ」

内壁には『ガイナ』という塗料を遮熱材として施工しました。これは居間内壁への施工です。

この塗料は、H−Uロケットの先端部が空気の摩擦から高熱になってロケットが破壊されてしまわない為の先端技術を応用して開発されたものです。従って製造には宇宙航空研究開発機構【JAXA】のライセンス許諾をうけています。

この塗料が開発された意図の通り、建築物においても断熱・遮熱効果は大変優れていますが、下表のようにさまざまな特質を持っています。

省エネへの効果断熱・遮熱・対候性・耐久性
快適性への効果防音・防露・消臭・透湿・防菌・防護・安全・癒し効果
機能性への効果防汚・弾性・不燃・施工性の良さ

今回はこの塗料に骨材を混ぜて左官仕上げとしました。仕上がり具合は珪藻土などの左官材と変わりなく、値段もこなれています。

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スペーサー
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スペーサー

下のグラフはある家にガイナを施工した際に、施工前と施工後の室温の変化を連続的に計測したものです。室温はご覧のように5℃程度、明らかな差がついたのをご覧下さい。 gaina2

スペーサー

以上のようにご説明した二つの遮熱材をどのように施工したか、その断面図をご紹介します。図の左が室外、右側が室内です。

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3−4 遮熱工事が及ぼすその他の効果

上記のようにタイベック・シルバーやガイナなどを使った『遮熱』工事を行えば、他にも特筆すべき次のような効果があります。

すなわち部屋で作り出した熱(エアコンの温熱・冷熱など)を外へ逃がさないという断熱効果だけでなく、部屋の内壁が受け取ったエアコンなどの熱をそのまま室内に戻す、ちょうど鏡のように壁が熱を反射します。この効果により、暖房・冷房の効きを早くする効果も生んでくれます。


3−5 リフォームにも使える『ガイナ』の簡単な施工

壁の内側に施す透湿・防水シートや断熱材をリフォームの際に施工しようとすると壁を剥がす大規模な工事になりますが、クロスや塗り壁の代わりに、この『ガイナ』を室内に塗る事をお勧めします。それで比較的安価に室内温熱環境を改善出来ます。

またこれを外部建築素材の上に塗れば、家全体に『遮熱』を施すことも可能です。塗布可能なのは、モルタル壁やサイディングなど、あるいは屋根材のセメント瓦、スレート瓦、鉄板屋根など広範囲にわたります。


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